8月度のはがき随筆月間賞は、鹿島市三河内、福川清治さん(77)の「梅雨明け」(8月7日掲載)に決まりました。佳作は、佐賀市赤松町、小〓敦子さん(57)の「迷い」(13日)▽唐津市鏡、古賀美世子さん(71)の「葉月の庭」(27日)??の両作品です。「梅雨明け」は29日(水曜)午前8時35分ごろ、NBCラジオ佐賀で紹介されます。【はがき随筆係】
◇叙情感じさせる風景作品
「梅雨明け」は、この夏の猛暑に筆者の住む周りの風景を描きながら、叙情すら感じさせる文学的作品。ムクゲの白い花が揺れている、そのすき間から見える山の尾根。ムクゲは背の高い植物だということがよく分かる。空の雲の動きを感じる筆者は、同じ場所から動いてはいない。うまそうではないと雲を表現した。すっきりしない雲を暗に示したものだろうか。ムクゲが落ちたことではっとさせ、「うだる」と「静寂」のアンバランスが絶妙。風と雲だけの景になる、自己の存在も消え、観念だけの世界が、またセミの声でよみがえる。秀作です。
「迷い」は、筆者が忘れ物を捜すかのように気になっていたものが、ラジオから流れる言葉でふっ切れた。「著名な作家が言っていた。若さを保つ秘けつは年がいのない生活だと」「新婚旅行で履いた靴。すぐに妊娠、出産」「でも、もう迷うまい。背筋をピーンと伸ばしてさっそうと歩こう、この靴履いて。7センチヒール。トマトレッドのお気に入りのパンプス」。いつもと変わらぬ日常に、ふっと矢はささる。自分の思いとマッチすると、方向転換できるものだという女性の特有の愛らしさがうかがえた。
「葉月の庭」は、朝のひと時を順序良く書いたものだが、植物と鳥やカニとのコンビネーションが作品を華やかにしている。「マンリョウの葉にべっこう色の空セミが三つしがみつき1カ月余り。水をかけても落ちず、尊い命を送り出した後の使命感からか?」「鉢の陰からがさごそと2匹のカニがお出まし、かわいい」。筆者の一日は、猛暑の夏も「首に保冷剤を巻き残暑に立ち向かう」。庭の手入れから始まり、季節の恵みを十分に感じ取っている様子。カニのいる川の話があれば、涼しくなったかもしれません。【笠原瑠璃子】
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◇梅雨明け
梅雨明けらしい。油照り、ムクゲの白い花がかすかに揺れている。ムクゲの向こうに若葉の盛り上がった山の尾根、その上に夏空。厳密にはまだ梅雨晴れる空だ。うまそうでもない大きな雲のかたまりが間隔をもって動いている。まぶしい輝きはまだない。ムクゲが一輪落ちた。ほかは松もモチもツバキもそよとも動かず熱気に浸っている。
うだるような静寂。この時間、映画だと一瞬の場面転換で私は消え、次の瞬間書斎も庭も消え風と雲だけの景になるのだ。不意にセミが一斉に鳴き出した。過去からか未来からか。その声も暑い。
9月20日朝刊
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引用元:SEOブロゴ | 広島市
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